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太極拳の化勁について(基本編)

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体幹部における化勁の写真
化勁【初級応用編】体幹部における化勁とは?

化勁(初級応用編)

太極拳の化勁についての基本編に続き、【初級応用編】として、両肩を押さえられた場合や、体と体が密着した場合など、相手との距離が近い場合の化勁について紹介します。

※ 基本編をお読みでない方は、基本編から読まれる事をおすすめします。

化勁の【基本編】と【初級応用編】の違いについて

基本編で紹介した技法は、主に手首や掌などの末端部(枝)を接した状態での化勁でした。

初級応用編では、相手の上腕部や体と体が密着した場合など、相手の体幹部(幹)に直接作用する化勁となります。

また末端部における化勁の場合は、主に歩法によって相手を崩しますが、体幹部にかける場合は、内功による身法を用います。

まとめると以下のようになります。

接触部崩し方
基本編手首や掌など歩法
初級応用編上腕、肩、体幹部内功による身法
化勁の基本編と初級応用編の違い
基本編では、手首や掌などの末端部に接し、主に歩法によって崩す技法を紹介した。

では、【初級応用編】の具体例を見ていきましょう。

両肩を押さえられた場合の化勁

相手に両肩を押さえられた状態の写真

まず、両肩を押さえられるという事は、それだけ相手との間合いが近いという事です。

間合いが近いという事は、それだけこちらの行動にも制限がかかります。

つまり、手の行動範囲が狭くなるため、そのぶん身体内面の動き(内功)を用いた技法が中心となります。

求心的な螺旋勁を用いた化勁

以下の技法は、どちらも求心的な螺旋勁を用いた技法ですが、手首を持たれた場合と両肩を押さえられた場合とで比較してみましょう。

手首を持たれた場合は、つかまれた手首から化勁をかけ、相手につかませた(ロックした)状態で技法へと変化していきます。

また手首や掌を貼り付けた技法の場合は、ある程度は手自体の動きによる崩しも可能です。

両肩を押さえられた状態の場合は、基本編で紹介した掌や手首を粘着させる化勁は使えなくなります。

そのため、相手の上腕部に接して化勁をかけ、相手の体幹部に直接働きかけて崩します。

この技法では、内功による求心的な螺旋勁(渦巻き状の力、太極拳の捋)を作用させて、相手を崩しています。

この化勁の原理を利用した応用例を紹介します。

よく護身術などで、相手の関節を極める技法が紹介されていますが、いきなり関節を極めようとすると、相手はものすごい力で抵抗します。

そのため、この技法では、化勁をかけると同時に、上腕部に縦の螺旋勁を作用させ、相手を渦巻き状の力に巻き込んで崩しています。

太極拳の捋(リー)の典型的な使用例です。

前方へ向かう螺旋勁を用いた化勁

続いて紹介するのは、前方へ向かっての螺旋勁を用いた技法です。

この技法では、相手の上腕部から化勁をかけた上で、両腕を交差(ロック)させ、前方へと向かう螺旋勁を用いています。

全体的なイメージとしては、前方へ向かって渦を描くイメージです。

相手を渦の中に巻き込み、最後は封じ込めるように投げます。

相手にどのような力が加わり、崩れていくのかを注視してみて下さい。

ちなみに一回目は、最後の部分で力が出てしまい、化勁がかかっていません。(相手は崩れていません)

太極拳の下按を用いた封じ込めの化勁

両肩を押さえられた場合の応用例は多種ありますが、最後は太極拳の下按を利用した技法を紹介します。

当然ですが、無理に両腕を押さえ込もうとしても、相手は抵抗します。

そのため、化勁をかけると共に相手の上腕を通じて、左右から力を集め、相手の体を通すように沈めます。上手く化勁がかかると、相手は膝から崩れます。

基本編で紹介した封じ込めの化勁の応用ですが、難度はかなり上がります。

体幹部に対しての化勁

体と体が密着した状態での化勁の写真(攬雀尾の下按の用法例)

基本編では掌や手首が接した状態、両肩を押さえられた場合では、主に上腕を通じて化勁をかけてきましたが、本項では、相手の体幹部に直接作用させる化勁について紹介します。

遠心的な螺旋勁を用いた化勁

この動作は、基本編で紹介した単鞭などの極めの動作ですが、化勁がない場合は、通常は拮抗が起きます。

そのため、相手の体幹部に接する肩口から上腕の部分を使って化勁をかけます。

化勁をかけると同時にこの技法では、遠心的な螺旋勁を用い、相手をコマのように回転させて崩しています。

この動画は、単鞭の使用例です。

双圏で相手の両腕を巻き込み、密着して開の螺旋勁を用います。

体幹部同士が接触していれば、螺旋勁が作用し、相手は崩れていきます。

下の技法は、同様の原理を応用した陳式太極拳 小架式の白鵝亮翅(はくがりょうし)です。

同じく遠心的な螺旋勁を用いた技法ですが、白鵝亮翅の場合は、相手の肩に接し、化勁をかけています。

体幹部に直接触れてからの化勁

最後に相手の体幹部に直接手を触れた状態からの化勁を紹介します。

足をかけて押し倒しているように見えますが、足をかけて押しても、通常は相手の抵抗が起きます。

そのため、相手に触れる瞬間に、化勁と前方への螺旋勁を同時にかけ、相手に渦巻き状の力を作用させて崩しています。

このように体幹部における化勁の場合は、化勁をかけると同時に、こちらの内面で発生させた力を相手に作用させる必要があります。

楊式太極拳の擠勢も化勁を併用する事で、ダイレクトに相手に力を作用する事ができます。

さて、勘の良い方はお気付きかもしれませんが、太極拳は実は打法を打ち込む際にも、接触する瞬間に化勁を用います。

そのまま打ち込んでも、相手の筋抵抗が起き、反作用が生じるからです。

また触覚だけでなく、視覚や意識を用いた化勁もありますが、仮に動画で撮影しても、明確な違いを表現できないため、今回は割愛しています。

初級応用編 まとめ

今回は、太極拳の化勁の基本編に続き、【初級応用編】として、両肩を押さえられた場合や、体と体が密着した場合など、相手との距離がより近い場合の化勁について紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?

今回紹介した基本編や初級応用編の技術を組み合わせていくと、化勁の技術も無限に発展していきます。

実際、この記事を書き終えた時点で、すでに新しい化勁の原理の検証を行っています。

また、化勁が分かってきた事で楊式太極拳に対しての印象もずいぶんと変わりました。

日本では、松田隆智氏の影響や外見の印象から、陳式太極拳が武術で楊式太極拳は健康法といったイメージを持たれている方も多いと思います。

ただし、実際に化勁が分かってくると、だいぶ印象が変わってくると思います。

理由は、外見上どんなに大きい力を出す事ができても、実際に相手に作用しない事には意味がないからです。

これは防御においてもそうですし、打法や摔法(投げ技)においてもそうです。

触れてからのほうが、はるかに重要です。

満州人には真伝を伝えなかった。北京の人が軟弱で武術としての練習ができなかったという理由もあるのでしょうが、楊露禅自身の技法や練習法が変わっていったのではないかと思います。

もちろん陳式太極拳にも多数の名人が輩出されています。

さて、基本編でも触れましたが、やはり化勁においては、本当に化勁を習得している師の指導が必須となります。

実際に自分が化勁にかかってみて、化勁のかかった状態がどういう状態なのかを把握する必要があるからです。

遠方でも良師を探せとの言葉もあります。良き師との出会いを望みます。

今後も当会では、化勁の技術を会員諸氏と研鑽していきたいと思います。

当会に興味を持たれた方は、湧泉会の特徴】のページをご覧下さい。

当会での学習を希望する方は、受講案内のページにお進み下さい。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

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