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伝統太極拳の基本と練習体系(初級~中級)

福岡伝統太極拳 湧泉会の太極拳教室の練習風景を撮影した写真

太極拳には大別すると、健康法や表演を目的として、近年制定された制定拳と、中国の動乱の歴史を乗り越えてきた伝統拳とがあります。

伝統太極拳の練習体系とは、その門派の核となる基本があり、その基本を応用、発展する形で、套路(型)や技法、武器術といったものが存在しているという事です。

その目的は内功の養成にあり、最終的には人間本来の動きを取り戻し、それを武術として応用発展してきたものです。

伝統の中国武術は、套路(型)だけを学ぶのではなく、どのような理論と練習体系が伝わっているかが一番重要だと思います。

本ページでは、太極拳の基本功を中心とした当会の初級から中級クラスの練習内容を抜粋して紹介します。

太極拳 初級教程の目的

太極拳の初級教程での必須項目は、站樁にしろ、基本功にしろ、基本技法にしろ、何より正確な外形を覚える事です。

そして、道場だけでなく、自分自身でも練習できるようになる事。

また、正確な動作を覚えると共に、先生の動きの雰囲気を感じる事。

そうすれば、少しづつ内功に関しても、理解できるようになるでしょう。

太極拳 基礎練功法

基礎練功法の目的は、武術的な身体を作るための前段階、もしくは強化するための練習法ですが、当会では準備運動を兼ねて行っています。

一般的なものもあれば、当門独特の内容もあります。

太極拳の基礎練功法の循環式の写真
基礎練功法の循環式。太極拳の姿勢を作るための当会独自の練功法です。
太極拳の基礎練功法のスワイショウの写真。
スワイショウにも、当会独特の要訣があります。
太極拳の基本功(大纏絲)を行う会員達の写真
圏肩法の一種(大纏絲)を行う会員達

どの功法にも、要訣があり、要訣の要求通りに練習をしていかなければ効果がありません。

基礎練功法で学んだ動作が、後々、基本功や套路(型)に形を変えて出てくるのも当会の特徴です。

太極拳の站樁(たんとう)

太極拳 站樁 抱球樁(ほうきゅうとう)の写真
太極拳 站樁 抱球樁(ほうきゅうとう)

站樁本来の意味は、杭のように立つという意味です。

その言葉通り、所定の姿勢を維持したまま、一定時間立ち続ける練習です。

站樁の練習を継続する事により、垂直軸を中心とした内面的な骨格の形成を目指します。

太極拳の站樁の写真
下按樁(かあんとう)下方向への按勁(押さえる力)を養成する站樁。基本功の起勢と対となる樁功です。

站樁の姿勢を観察すると、首から足首にかけて緩やかなS字のカーブを描いています。

この姿勢は、頭部の重さを全身に分散し、垂直に支えている状態です。

言い換えれば、バネの上に頭を置いている姿勢とも言えます。

この姿勢を習慣化する事で、健康面としては肩こりや腰痛の予防となりますし、武術的には、力を発するための準備姿勢となります。

初級クラスで学ぶ站樁は、無極、抱球(下段と中段)、下按、白猿献果、青龍探爪、大鵬展翅、托天掌などがあります。

当会の特徴としては、それぞれの樁功が、次に紹介する基本功の動作と一対のセットとなっている事です。

樁功(静)と基本功(動)を一対として学ぶ事で、静中求動、動中求静(静中に動を求め、動中にも静を求める。静止した状態でも、いつでも動き出せるように、動いていても站樁の状態を維持する)の実現を目指します。

また、站樁を組むことで、静止状態での外形と内形の一致をはかります(内外合一)

その他、立身中正、虚領頂勁、沈肩墜肘、上虚下実など、站樁で学ぶ要訣は多岐にわたります。

站樁に関しては、様々な要訣がありますが、一番重要な事は立つ事。そして立ち続ける事です。

立ち続ける事で、内形と外形が一致し、内側の形が外側に表れてきます。

内形や外形については、こちら のページにて詳細を説明しています。

太極拳の基本功

当会の基本功の特徴は、前述したように樁功と一対となっています。

初級クラスで学ぶ基本功の主目的は、四肢と体幹部の連動した生物体本来の動きを取り戻す事にあります。

そして、中国武術独特の【内功による力の出し方】を身に付ける事です。

「四肢と体幹部の連動した動き」については、こちらのページで解説しています。

起勢式(きせいしき)

太極拳 基本功 起勢

起勢式は、前述した站樁の下按樁と対となる太極拳の基本功です。套路(型)の最初に出てくる動作です。

太極拳の要訣を満たした範囲内での極限の膨張と圧縮を行い、身体をポンプ化(後にピストン化)し、太極拳に必要な力を発生させます

当会に入門した方は、起勢式を徹底的に練る事となります。

理由は、太極拳を行うための力は全て起勢から生じ、起勢の変化だからです。

起勢では、太極拳の四大勁の中のポン勁と按勁を養成しますが、特に重要なのは下方への按勁(押さえる力)です。

下の動画は、起勢式の上下の動きをさらに拡大した劈掌(へきしょう)という技法です。

八卦掌の基本技法である劈掌

白猿献果(はくえんけんか)

太極拳の基本功である白猿献果の写真
太極拳の基本功 白猿献果式

白猿献果式は、起勢と同じように、身体内で膨張と圧縮(折畳)する仕組みを作り、かつ下から上へと向かう力(提勁)の養成を目指します。

起勢と比べても、一段階、難度の上がる練功法です。

下の動画は、基本功ではなく、技法(打法)としての白猿献果です。

ボクシング系のアッパーのように体をねじったり、腰をしゃくり上げたりせず、内功で生じた力を純粋に上方へと発しています。

太極拳の基本技法である白猿献果の打法

青龍探爪(せいりゅうたんそう、双按)

太極拳の基本功である青龍探爪の写真
太極拳基本功 青龍探爪式

青龍探爪は、起勢や白猿献果などで発生させた上下の力を前方への力に変換するための基本功です。

腕自体は、伝達経路(ホース)とし、あくまで身体内で生じさせた圧力を前方へと運びます

外見はシンプルですが、内面では、全身のギアを組み合わせ、非常に複雑な作業をしています。

太極拳 基本功 青龍探爪(双按)

動画を見ると、身体が波うっているように見えますが、真似して肩や上体を波打つように行うのは間違いです。

単純に外見を真似るのではなく、正しい要訣を学び、純粋に前方へ力を運べるように、自分自身の青龍探爪を構築していく事が重要です。

前方に力を出すという事は、武術全般に必要不可欠な力です。

青龍探爪の内功が完成してくれば、内功による瞬発力を発する事ができるようになります。

青龍探爪による内功の瞬発力

この段階の基本功としては、他に大鵬展翅(開合)や托天掌(身体側面での上下)、十字脚などがあり、いずれも太極拳の根本的な身体を動かす仕組み(内功)を学んでいきます。

内功についての詳細は、内功についてのページで、詳しく解説しています。

太極拳の歩法

楊式太極拳(如封似閉)を行う会員達の写真。
定歩での太極拳の歩法練習

太極拳の歩法練習には、定位置で行う定歩、移動しながら行う活歩、そしてその場で転身する換歩などがあります。

初心者にとって、最重要な課題は、定歩での歩法練習です。

太極拳にとっての歩法練習とは、体軸の移動を伴なった重心の移行の事を言います。

最初は站樁の姿勢を維持して行い。下半身の功夫が安定してきたら、上記で紹介した基本功と組み合わせて行います

青龍探爪の仕組みを前後に歩法で運ぶ 定歩双按

体重を無理やり押しかけるのではなく、青龍探爪の仕組みを用い、体の中から力を押し出したり、引き寄せたりしているのが分かると思います。

歩法と基本功を組み合わせて行う事で、太極拳の運動に必要な全身の一致を目指します。(上下相随、上虚下実)

太極拳の歩法練習を行う会員達の写真
活歩での太極拳の歩法練習

陳式太極拳 基本功

やや中級者よりの練習法になりますが、次で紹介する陳式太極拳の基本技法を学ぶために必要な陳式太極拳の基本功を紹介します。

陳式太極拳基本功 大纏絲 (順纏)

大纏絲(だいてんし)は、当門での名称で、一般的には纏絲功(てんしこう)や双纏手(そうてんしゅ)、双圏手(そうけんしゅ)等と呼ばれています。

両手の円圏動作と身体を連動させるための基本功です。

技法としての纏絲勁(てんしけい)を学ぶ前段階の練習法で、大まかな纏絲を学ぶという意味で大纏絲と呼ばれています。

また単純に動作が大きいためという理由もあります。ちなみに小纏絲という練習法もあります。

大纏絲は、両手の円圏動作と体幹部の連動した動き(内功)を見に付けるための基本功です。

後半は、右方向を前方とした前後の意識を用いて行っています。

この動作は、陳式太極拳の懶扎衣(らんざつい)や六封四閉(ろくふうしへい)、単鞭(たんべん)などの根幹となる動きです。

楊式太極拳 攬雀尾(らんじゃくび)

大纏絲の順纏の動作に、さらに纏絲を加え絞り込んでいくと、楊式太極拳の攬雀尾となります。

楊式太極拳 攬雀尾の単操(ポン・リー)

ポンの動作で順纏をかけ、リーの動作で逆纏絲をかけています。

本来の攬雀尾は、ドリル上の纏絲勁(てんしけい)を身に付けるための基本功です。

楊式太極拳の攻防の要となる最重要の技法となります。

陳式太極拳基本功 大纏絲 (逆纏)

上記の大纏絲の順纏の動作を逆回転させたものが逆纏となります。

後半は、同じく右方向を前方とした前後の意識を用いて行っています。

この動作は、動画の終盤で行っている陳式太極拳の金剛搗碓(こんごうとうたい)や楊式太極拳の下勢→金鶏独立(きんけいどくりつ)の動きの基となります。

太極拳の基本技法

基礎練功法や基本功の習得が進めば、太極拳の基本技法を学んでいきます。

太極拳の基本技法は、太極拳の基本功を発展させたり、組み合わせる事によって構成されています。

当会の太極拳の技法の特徴は、套路の動きで内功を身に付け、技法としては内功そのものを動かした動作となります。

以下に紹介する基本技法では、套路の動き、内功による動き、内功による瞬発力の順番で行っています。

陳式太極拳 懶扎衣(らんざつい)

陳式太極拳 懶扎衣

懶扎衣は、これまで紹介してきた基本功の功夫に纏絲をかけ、さらに凝縮した力を右掌に集中させます。

主に相手の頭部を狙い、針で突き刺すような打法が特徴です。

陳式太極拳の懶扎衣については、こちら のページで詳しく解説しています。

陳式太極拳 六封四閉(ろくふうしへい)

陳式太極拳 六封四閉

六封四閉は、懶扎衣の発展形で、より上下の動きを意識した技法です。

身体を圧縮しながら、相手の胸部や腹部へ掌を打ち込みます。

六封四閉の用法例などの詳細は、こちら のページで紹介しています。

陳式太極拳 単鞭(たんべん)

陳式太極拳 単鞭

単鞭は、旋回運動と開合動作を組み合わせ、左手刀に意識を集中させます。

鞭のような打法が特徴です。

太極拳の単鞭については、こちら のページで詳しく解説しています。

太極拳の各基本技法の詳細に関しては、技法研究】のカテゴリーにて紹介しています。

太極拳の初級套路(型)

太極拳の基本技法をつなげたものが、太極拳の初級套路(型)となります。

当会の套路練習の特徴は、型の順番を覚えるよりも、一つ一つの技法を確実に身に付けていくところにあります

指導員による、初心者向けの太極拳の套路を紹介します。

陳式太極拳 初級套路

※ スマートフォンの方は、画面を横向きにし、拡大してご覧下さい。

楊式太極拳 簡化式

太極拳の初級教程のまとめ

ここまで、当会の太極拳の初級クラスの内容を抜粋して紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

この段階では、太極拳の基本である姿勢や身体を動かす仕組み(内功)を正確に身に付け、次の中級教程に進む準備を行っていきます。

記事を読んでみて、当会での受講を希望する方は、受講案内のページにお進み下さい。

当会の中級クラスの内容を見たい方は、 をクリックして続きをご覧下さい。

太極拳の中級教程では、以下のような内容を習得していきます。

  • 中級教程の基本功の習得
  • 中級套路や伝統套路の習得
  • 太極拳の実用技法
  • 推手や対練
  • 武器術の習得
  • 太極拳と武器術の比較研究など
陳式太極拳 金剛搗碓の実用技法
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