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伝統太極拳の練習内容(初級~中級)

福岡伝統太極拳 湧泉会の太極拳教室の練習風景を撮影した写真

太極拳には大別すると、健康法や表演を目的として、近年制定された制定拳と、中国の動乱の歴史を乗り越えてきた伝統拳とがあります。

伝統太極拳の練習体系とは、その門派の核となる基本があり、その基本を応用、発展する形で、套路(型)や技法、武器術といったものが存在しているという事です。

その目的は内功の養成にあり、最終的には人間本来の動きを取り戻し、それを武術として応用発展してきたものです。

伝統の中国武術は、套路(型)だけを学ぶのではなく、どのような理論と練習体系が伝わっているかが一番重要だと思います。

本ページでは、当会の太極拳教室の初級から中級クラスの練習内容の一部を紹介します。

太極拳 初心者教室の練習内容

前半の60分は、主に初心者を対象とした太極拳の基礎的な内容を練習しています。

初心者が習得すべき項目には以下のようなものがあります。

太極拳の初級教程の必須目的

太極拳の初級教程での必須項目は、站樁にしろ、基本功にしろ、基本技法にしろ、何より正確な外形を覚える事です。

そして、道場だけでなく、自分自身でも練習できるようになる事。

また、正確な動作を覚えると共に、先生の動きの雰囲気を感じる事。

そうすれば、少しづつ内功に関しても、理解できるようになるでしょう。

太極拳 基礎練功法

基礎練功法の目的は、武術的な身体を作るための前段階、もしくは強化するための練習法ですが、当会では準備運動を兼ねて行っています。

一般的なものもあれば、当門独特の内容もあります。

太極拳の基礎練功法の循環式の写真
基礎練功法の循環式。太極拳の姿勢を作るための当会独自の練功法です。
太極拳の基礎練功法のスワイショウの写真。
スワイショウにも、当会独特の要訣があります。
太極拳の基本功(大纏絲)を行う会員達の写真
圏肩法の一種(大纏絲)を行う会員達

どの功法にも、要訣があり、要訣の要求通りに練習をしていかなければ効果がありません。

基礎練功法で学んだ動作が、後々、基本功や套路(型)に形を変えて出てくるのも当会の特徴です。

太極拳の站樁(たんとう)

太極拳の基本姿勢を身に付けるための練習法である站樁の写真
抱球樁(中段)

站樁本来の意味は、杭のように立つという意味です。

その言葉通り、所定の姿勢を維持したまま、一定の時間立ち続ける練習です。

站樁の姿勢を観察すると、首から下にかけて緩やかなS字のカーブを描いています。

この姿勢は、頭部の重さを全身に分散し、緩やかなカーブで、垂直に支えている状態です。

言ってみれば、バネの上に頭を置いている姿勢とも言えます。

この姿勢を習慣化する事で、健康面としては肩こりや腰痛の予防となりますし、武術的には、後々力を発するための準備姿勢となります。

初級クラスで学ぶ站樁は、無極、抱球(下段と中段)、下按樁、青龍探爪、白猿献果、大鵬展翅、托天掌などがあります。

当会の特徴としては、それぞれの樁功が、次に紹介する基本功の動作と一対のセットとなっている事です。

樁功(静)と基本功(動)を一対として学ぶ事で、静中求動、動中求静(静中に動を求め、動中にも静を求める。静止した状態でも、いつでも動き出せるように、動いていても站樁の状態を維持する)の実現を目指します。

また、站樁を組むことで、静止状態での外形と内形の一致をはかります(内外合一)

その他、立身中正、虚領頂勁、沈肩墜肘、上虚下実など、站樁で学ぶ要訣は多岐にわたります。

太極拳の站樁の一つである下按樁の写真
太極拳の站樁の一つである下按樁

下方向への按(押さえる)の力を養成する站樁。基本功の起勢と対となる樁功です。

站樁に関しては、様々な要訣がありますが、一番重要な事は立つ事。そして立ち続ける事です。

立ち続ける事で、内形と外形が一致し、内側の形が外側に表れてきます。

内形や外形については、こちら のページにて詳細を説明しています。

太極拳の基本功

当会の基本功の特徴は、前述したように樁功と一対となっています。

初級クラスで行っている基本功の主目的は、四肢と体幹部の連動した生物体本来の動きを取り戻す事。

そして、中国武術独特の【内功による力の出し方】を身に付ける事です。

「四肢と体幹部の連動した動き」については、こちらのページで解説しています。

起勢式(きせいしき)

太極拳 基本功 起勢式

起勢式は、太極拳の套路(型)の最初に出てくる動作です。

太極拳の要訣を満たした範囲内での極限の膨張と圧縮を行い、身体をポンプ化(後にピストン化)し、太極拳に必要な力を生じさせます

同時に生物体本来の四肢と体幹部の連動した動きを身に付けていきます。

当会に入門した方は、起勢式を徹底的に練る事となります。

理由は、太極拳を行うための力は全て起勢から生じ、起勢の変化だからです。

起勢では、太極拳の四大勁の中のポン勁と按勁を養成しますが、特に重要なのは下方への按勁(押さえる力)です。

下の動画は、起勢で得た内功をさらに拡大した劈掌(へきしょう)という技法です。

起勢の動きを、さらに拡大した劈掌

白猿献果(はくえんけんか)

太極拳の基本功である白猿献果の写真
太極拳の基本功 白猿献果式

白猿献果式は、起勢と同じように、身体内での膨張と圧縮(折畳)する仕組みを作り、かつ下から上へと向かう力(提勁)の養成を目的としています。

起勢と比べても、一段階、難度の上がる練功法です。

下の動画は、基本功ではなく、技法(打法)としての白猿献果です。

ボクシング系のアッパーのように体をねじったり、腰をしゃくり上げたりせず、内功で生じた力を純粋に上方へと発しています。

太極拳の基本技法である白猿献果の打法

青龍探爪(せいりゅうたんそう、双按)

太極拳の基本功である青龍探爪の写真
基本功 青龍探爪式

青龍探爪は、起勢や白猿献果などで発生させた圧力を前方への力に変換するための基本功です。

腕自体は、伝達経路(ホース)とし、あくまで身体内で生じさせた圧力を前方へと運びます

外見はシンプルですが、内面では、全身のギアを組み合わせ、非常に複雑な作業をしています。

太極拳 基本功 青龍探爪(双按)

動画を見ると、身体が波うっているように見えますが、真似して肩や上体を波打つように行うのは間違いです。

単純に外見を真似るのではなく、正しい要訣を学び、純粋に前方へと力を運べるように、自分自身の青龍探爪を構築していくのが重要です。

前方に力を出すというのは、武術全般に必要不可欠な力です。

青龍探爪の内功が完成してくれば、内功による瞬発力を発する事ができるようになります。

青龍探爪による内功の瞬発力

また次項で紹介する歩法と青龍探爪の仕組み(内功)を組み合わせれば、楊式太極拳の最重要の基本功である攬雀尾の双按となります。

楊式太極拳 基本功 定歩双按

体重を押しかけたりせず、青龍探爪の仕組みで、力を押し出したり、引き寄せたりしているのが分かると思います。

白猿献果、大鵬展翅、托天掌などの基本功の動画は、会員及びオンラインレッスンの受講者のみ公開しています。

太極拳の歩法

太極拳の歩法練習を行う会員達の写真
太極拳の歩法練習を行う会員達

歩法には、定位置で行う定歩、移動しながら行う活歩、またその場で転身する換歩などがあります。

当会の特徴としては、歩法を単独で練る場合と、上記で紹介した基本功と組み合わせて行う場合とがあります

歩法と基本功を組み合わせて行う事で、太極拳の運動に必要な全身の一致を目指します。(上下相随、上虚下実)

楊式太極拳(如封似閉)を行う会員達の写真。
太極拳の基本功と歩法を組み合わせて練習する会員達

陳式太極拳 基本功

やや中級者よりの練習法になりますが、次で紹介する陳式太極拳の基本技法を学ぶために必要な陳式太極拳の基本功を紹介します。

大纏絲 (順纏)

大纏絲(だいてんし)は、当門での名称で、一般的には纏絲功(てんしこう)や双圏手(そうけんしゅ)等と呼ばれています。

手の円圏動作と身体を連動させるための基本功です。

技法としての纏絲勁(てんしけい)を学ぶ前段階の練習法で、大まかな纏絲を学ぶという意味で大纏絲と呼ばれています。

また単純に動作が大きいためという理由もあります。ちなみに小纏絲という練習法もあります。

大纏絲は、両手の円圏動作と体幹部の連動した動き(内功)を見に付けるための練功法です。

後半は、右方向を前方とした前後の意識を用いて行っています。

この動きは、陳式太極拳の懶扎衣(らんざつい)や六封四閉(ろくふうしへい)、単鞭(たんべん)などの根幹となる動きです。

大纏絲 (逆纏)

上記の大纏絲の順纏の動作を逆回転させたものが逆纏となります。

後半は、同じく右方向を前方とした前後の意識を用いて行っています。

この動作は、陳式太極拳の金剛搗碓(金剛搗碓)や楊式太極拳の下勢→金鶏独立(きんけいどくりつ)の動きの根幹となります。

陳式太極拳 金剛搗碓(こんごうとうたい)

太極拳の基本技法

基礎練功法や基本功の習得が進めば、太極拳の基本技法を学んでいきます。

太極拳の基本技法をつなげて行えば、太極拳の套路(とうろ、型)となります。

当会の套路練習の特徴は、型の順番を覚えるよりも、一つ一つの技法を確実に身に付けていくところにあります

そのため、歩法の項で紹介したように、定歩(定位置)、活歩(上歩や退歩)、三角歩など様々な歩法と組み合わせた練習を行います。

楊式太極拳 攬雀尾(らんじゃくび)

陳式太極拳の基本功で紹介した大纏絲の順纏の動作に、さらに纏絲を加え絞り込んでいくと、楊式太極拳の攬雀尾(らんじゃくび)となります。

楊式太極拳 攬雀尾の単操(ポン・リー)

ポンの動作で順纏をかけ、リーの動作で逆纏絲をかけています。

楊式太極拳の攻防の要となる最重要の技法です。

陳式太極拳 懶扎衣(らんざつい)

陳式太極拳 懶扎衣

上記で紹介した楊式太極拳の攬雀尾のポン(前へ)→リー(後ろへ)の切り返し動作を、後ろへ戻すことなく前へと運ぶ事で陳式太極拳の「懶扎衣(らんざつい)」となります。

基本功で得た劈掌や双按などの力に纏絲をかけ、さらに凝縮した力を右掌に集中させます。針で刺すような繊細な打法が特徴です。

陳式太極拳の懶扎衣についての詳細は、こちら のページで紹介しています。

陳式太極拳 六封四閉(ろくふうしへい)

陳式太極拳 六封四閉

起勢で得た上下の力を旋転運動により、体の側面下方へと運ぶ技法。

六封四閉の別法である切掌

六封四閉を用いた切掌は、身体を圧縮しながら、相手の肝臓に目がけて、手刀部を打ち込みます。

陳式太極拳の六封四閉については、こちら のページで詳しく解説しています。

陳式太極拳 単鞭(たんべん)

陳式太極拳 単鞭

旋回運動と開合動作を組み合わせ、左手刀に意識を集中させる。鞭のような打法が特徴。

単鞭の勾手を用いた腕打(わんだ)

太極拳の単鞭について詳しくは、こちら のページをご覧下さい。

太極拳の各基本技法の詳細に関しては、【技法研究】のカテゴリーにて紹介しています。

太極拳の初級套路(動画/初心者向け)

太極拳の基本技法をつなげたものが、太極拳の初級套路(型)となります。

指導員による、初心者向けの太極拳の動画を紹介します。

陳式太極拳 初級套路
楊式太極拳 簡化式

初級教程の武器術(動画)

太極拳の初級套路を覚えた方には、刀術や棍術などの基本技法も指導しています。

目的としては、武器を学ぶ事で、より武術的な身体を作り、強化していくためです。

ここでは、いくつかの中国刀術や棍術の基本技法を動画で紹介します。

太極刀 掛刀

基本刀術 掛刀

掛とは、引っかけるという意味ですが、掛刀を練習する事で、刀との連帯感を養ない、武器に慣れる事を目的としています。

太極刀 劈刀

基本刀術 劈刀

劈とは、上から下に切り落とす動作を指します。

武術に限らず、薪割りなどでもそうですが、上から下へ斬り落とす力からというのは、非常に大きい力です。

劈刀を練習する事で、倒捲肱や高探馬など、上から打ち落とす太極拳の技法の強化にもなります。

太極刀 撩刀

基本刀術 撩刀

撩とは、劈とは正反対に下から上へと切り上げる動作を指します。

撩刀を練習する事で、陳式太極拳の金剛搗碓の撩掌や楊式太極拳の扇通背など、下から上へと力を出す技法の強化となります。

初級棍術 劈棍

基本棍術 掛棍

上述した掛刀を棍で行ったものです。

元々は棍術の防御技法ですが、この動作も棍を身体に馴染ませるために行います。

棍術を練習する男性会員達の写真
初級棍術 劈棍

劈刀と同じく上から下へと打ち下ろす棍術の基本技法です。

刀よりも、長く重たい棍を使用する事で、基礎的な功夫を高めていきます。

当会で指導している武器術は、こちらのページで紹介しています。

ここまで、太極拳の初級クラスの内容を抜粋して紹介してきましたが、これらの内容を毎回行う訳ではなく、段階や季節に応じて3ヶ月から半年位のスパンで練習内容を決めています。

当会での受講を希望する方は、【受講案内】をご覧下さい。

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