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伝統太極拳の特徴と歴史

伝統太極拳とは?その特徴と歴史のロゴ画像

太極拳には、近年、健康法や表演を目的に制定された制定太極拳と中国の動乱の歴史を乗り越え、現代に伝わってきた伝統太極拳とがあります。

また伝統太極拳と言っても、伝統の型だけが伝わっている門派と歴代の拳士達が工夫し、試行錯誤してきた練習体系(カリキュラム)を伝えている門派とがあります。

本ページでは、伝統太極拳の特徴と、太極拳や八卦掌がどのような過程で発生したのか、また太極拳を学ぶメリットについて解説しています。

伝統太極拳の特徴

楊式太極拳 攬雀尾の写真
内功を練る 楊式太極拳 攬雀尾

伝統の太極拳や八卦掌の最大の特徴は、【内功】という独特の運動理論を有しているところにあります。

太極拳などの内家拳は、この内功がすべてと言っても過言ではありません。

内功と聞くと、何やら神秘的な言葉に聞こえますが、実際には、身体を動かすための仕組み、あるいはそれによって生じた力(内勁)のことを言います。

内功について詳しくは、内功についてのページで解説しています。

内功は、外見を真似るだけでは習得が難しく、正しく習得している師の指導を受け、要訣を理解し、段階的に学んでいく必要があります。

また、伝統太極拳のもう一つの特徴は、剣や刀、槍などの武器術との共通した原理や戦術を有している点があります。

この2点は、実際には密接に関係しており、太極拳や八卦掌の発生過程と関係があります。

次項以降で、太極拳や八卦掌がどのような過程で発生してきたのか、その歴史を考えてみましょう。

太極拳の発祥と歴史

楊式太極拳 攬雀尾 ポン勢の写真
楊式太極拳 攬雀尾

太極拳や八卦掌の発祥については、仙道や道教から発生したとの説があります。

確かに内功によって生じた力(内勁)を運用する太極拳と道教などの修行法には共通点もありますが、今回は武術としての太極拳がどのような過程で発生したかについて考えてみましょう。

太極拳は武器術から生じた。

陳式太極剣の斜飛勢の写真
陳式太極剣 斜飛勢

戦乱の時代(明末期)の武術(主に武器術)は、殺傷のための道具でしたが、平和な時代(清)となり、戦場で学んだ技術を整理し、ある意味、楽しみ(趣味)として練習をする人達も出てきました。

そういった人達が、練習を重ねていく中で、こう動いたほうが、もっと威力が出るとか、より速く動けるとか、単なる力技ではなく、より効率的な動きを求めていったのだと思います。

最初は、ちょっとしたコツだったり、要領のようなものだったでしょう。

そこに経験が加わっていく事で、こういう場合はこう動いたほうが良いとか、この動きの場合はこの部分を意識するといった要訣や理論が蓄積されていったのだと思います。

それは、鉄製の重たい武器(刀や剣、槍など)を、力を使わずに操作する技術の事です。

それが【内功】の源泉と言えます。

八卦大刀を演ずる指導員の写真
全長130センチを超える大刀を操る八卦64大刀

理由は、現在の表演用の剣や刀と違い、本物の鉄製の武器は非常に重たいからです。

また中国武術には、棍や槍、春秋大刀など、長く操作しづらい武器(長兵器)もあります。

若くて筋骨隆々な時代であれば、力で扱う事が可能かもしれませんが、年を取り、力が無くなってしまえば、とても扱うのは無理でしょう。

それゆえ、年齢を重ねるにつれ、力を使わずとも、武器を扱える技術(内功)の習得が必須だったと言えます。

陳式太極剣 倒巻肱の写真
陳氏太極剣の倒巻肱

伝統太極拳の剣は、歩法と内功を用いて、剣を操作する。

具体的な太極剣や太極刀などの動きは、太極拳の剣や刀の基本のページで紹介しています。

武器術の内功を活用した八卦掌。

さらに時代が移り、本来は武器を操作するための技術であったものを、素手の拳法に活用する者たちも出てきました。

その人たちが、太極拳や八卦掌のルーツです。

特に八卦掌の場合は、腕を槍や刀と見なし、身体を使って、腕を操作する技術を発明しました。

槍の突き刺す動作を、
体を使って腕を突き出す技法に応用した八卦掌の穿掌。英名はspear palms。
棍術を練習する男性会員達の写真
棍を振り落とす動作を、
手刀を斬り落とす動作に応用した八卦掌の劈掌

このように、八卦掌は武器術の動きを、ほぼそのまま素手の技術として活用している例が多く見られます。

また攻防の際に、相手の腕を大刀に見立てて、掻い潜ったりする技法もあります。

八卦掌についての詳細は八卦掌の特徴と基本のページをご覧ください。

拳法と武器術を融合させた太極拳

では、太極拳はどのような過程を経て発生したのでしょう。

太極拳の場合は、少林拳などの徒手拳法の套路(型)が基となっています。

元々少林拳などを学んでいた人が、太極拳の源流地である陳家溝で武器術を学んだ。

もしくは、陳家溝で武器術を習得していた人が、後々素手の拳法を学んだかのどちらかだと思います。

いずれにしろ、拳法と武器術の身法(内功)が融合され、太極拳という独特の拳法が発生したというのが当会の考えです。

長拳の順歩単掌の写真
長拳の順歩単掌

上の写真は、長拳などの少林拳系に見られる順歩単掌、もしくは順歩推掌と言われる技法です。

順歩推掌は、顎先から直線的に手刀もしくは掌を打ち出します。

次に以下の剣術の動きをご覧下さい。

陳氏太極剣 基本功 掛剣 活歩練習

この技法は、別名「車輪剣」と言い、剣を操作するための基本功です。

この「車輪剣」で生じた力を順歩単掌という拳法の【鋳型】に流し込む事で、陳式太極拳の懶扎衣(らんざつい)という技法が発生しました。

懶扎衣は、陳式太極拳のもっとも根幹となる右掌による打法です。

外見だけ見ると、全く関連がないように見えますが、

陳氏太極剣の車輪剣という技法の写真
車輪剣の下から上への軌道を通り、前方へと剣を突き刺す動作が、
懶扎衣の過渡動作の写真
懶扎衣の下から力をすくい上げ、
陳式太極拳 懶扎衣の按勢の写真
前方へと掌を打ち出す動作へと活用されています。

懶扎衣について、詳しくは、こちらのページをご覧下さい。

陳式太極拳では、このように武器術の技法(身法)と徒手拳法の型が融合し、纏絲勁(てんしけい)を基とした独特の拳法を形成しました。

纏絲勁とは、身体内面で発生させた力を骨格を纏うように伝達させる仕組み(内功)の事です。

この陳家溝で発生した拳法が、後の伝承者達によって更に発展し、各派の太極拳へとなっていきました。

伝統太極拳の種類

陳家溝で発生した陳氏太極拳は、後に楊氏太極拳の創始者である楊露禅によって、陳家溝外部へと伝承されていきます。

陳式太極拳 斜行拗歩の写真
太極拳の源流地である陳家溝に伝わる陳式太極拳
楊式太極拳 提手上勢の写真
楊露禅から伝わる楊式太極拳(提手上勢)
古伝楊式太極拳小架式 撲面掌の写真
楊露禅の孫の楊少候が伝えた楊式太極拳小架式

後に五大流派と呼ばれる、呉派太極拳、武式太極拳、孫式太極拳などの創始者へと伝承され、また各派で独特の発展をしていっています。

各派の伝統太極拳に関しては、伝統太極拳の種類のページで紹介しています。

伝統太極拳の練習体系

太極拳の基本功(大纏絲)を行う会員達の写真
太極拳の基本功(大纏絲)を行う会員達

伝統太極拳の初歩段階の練習体系は、これまで説明してきたように、素手の拳法と武器術の融合によって生じた【内功】の習得を目指していく事となります。

言い換えれば、身体を動かす仕組み自体を変えていく事を目的としています。

站樁と歩法

具体的には、まず站樁(たんとう)や歩法などの静的な稽古により、中心軸や内面的な骨格の形成を目指していきます。

太極拳の站樁の写真
中心軸や内面的な骨格の形成を目指す站樁功
意念を用いた太極拳の方法練習の写真
意念を用い重心移動の感覚を養成する歩法

太極拳の基本功

次の段階では、身体の内部構造(内功)により体を動かす基本功を習得していきます。

身体をポンプ化(後にピストン化)し、下方への力を発生させる基本功
重心の移動と共に、前方への力を養成する基本功

太極拳の技法と套路(型)

これらの過程を経た上で太極拳の各技法を習得し、その技法を組み合わせたものが套路(型)となります。

太極拳を代表する技法である単鞭。鞭のような打法が特徴。

太極拳の各技法については、技法研究のカテゴリーにて紹介しています。

楊式太極拳 基礎套路

当会の練習体系の特徴は、套路(型)のみを学ぶのではなく、まず基本的な骨格を作り、各技法に習熟した上で套路を学んでいきます。

当会の練習体系については、【伝統太極拳の基本と練習体系】のページで紹介しています。

伝統太極拳を学ぶメリット

八卦掌の撩掌の写真

伝統の太極拳や八卦掌を学ぶ最大のメリットは、体を壊さずに、生涯にわたって技術の追求ができるという事です。

現代的な武道やスポーツをやり過ぎて、体を壊してしまった方も多いと思います。

また、日常生活の中でも、腰痛であるとか、膝痛であるとか、体のどこかに慢性的な痛みを抱えている方もいるでしょう。

伝統太極拳の動きは、内功によって生じた力を身体各部の構造を通じて伝達し、結果として全身運動を行います。

そのため、体の一部に過度な負担をかけることなく、長期的に技術の追求をしていく事ができます。

その理由は、歴代の拳士達が、どうすれば人を倒せるのかと同様に、どうすれば身体を壊さないのかも徹底的に研究してきたからでしょう。

どんな達人でも、身体を壊してしまえば、その時点で練習ができなくなってしまうので、研究せざるを得なかったいうのが実情だと思います。

伝統太極拳が体に良い理由は、下記ページで詳しく説明しています。

逆にデメリットとしては、やはり内功などの深い段階まで習得している指導者が非常に少ない事。

内功が伴なっていなければ、太極拳の形をいくら習っても、太極拳の本質的な部分の習得は難しいと思います。

そして、その習得には段階的な指導が必要で、長い時間がかかる事です。

まとめ

本ページでは、伝統太極拳の特徴と、太極拳や八卦掌がどのような過程で発生したのか、また伝統太極拳を学ぶメリットについて紹介してみました。

その上で、 当会では、以下の特徴と目的に応じた活動を行っています。

  • 伝統太極拳の練習体系
  • 徹底した内功の養成
  • 太極拳や八卦掌の実用性の追求
  • 太極拳と武器術の共通原理の探求
  • 生物体本来の健康体の習得

伝統太極拳の練習体系にこだわり、内功の養成と、太極拳の実用性を追求してきた団体です。

その過程で太極拳と武器術との共通原理を探り、その結果として、心身の健康を取り戻す事を目的に活動しています。

興味を持たれた方は、湧泉会の特徴】のページをご覧下さい。

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